コムギ胚芽抽出液WEPRO7240とWEPRO1240(旧製品)との合成量の比較
WEPRO7240は、タンパク質の合成量向上を目的として開発された高品質コムギ胚芽抽出液で、2009年に販売が開始されました。
旧製品WEPRO1240に比べ、約2倍以上のタンパク質合成量が得られます。
※WEPRO1240は生産終了品です。
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図1 コムギ胚芽抽出液WEPRO7240と1240を用いて合成した各タンパク質の合成比較 A: SDS-PAGEによるタンパク質泳動図 B: タンパク質合成量の非比較 M:分子量マーカー、1:WEPRO1240による合成、2:WEPRO7240による合成 いずれも6 mLスケールの重層法で反応した。 |
コムギ胚芽抽出液WEPRO7240G・7240Hによる合成と精製
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図1 WEPRO7240Gを用いたGST融合タンパク質の合成・精製 M:タイムコース測定、N:ネガティブコントロール、C:粗タンパク質画分、E:アフィニティ精製後のタンパク質画分 いずれも6mLスケールの重層法で反応した |
レジン:Glutathione Sepharose 4B(Cytiva)、洗浄バッファー:PBS、溶出バッファー:50 mM Tris, 10 mM GSH, pH8.0. WEPRO7240Gは、GSTタグ融合タンパク質推奨用に開発されたコムギ胚芽抽出液です。
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図2 WEPRO7240Hを用いたHis融合タンパク質の合成・精製 M:タイムコース測定、N:ネガティブコントロール、C:粗タンパク質画分、E:アフィニティ精製後のタンパク質画分 いずれも6mLスケールの重層法で反応した。 |
レジン:Ni Sepharose High Performance(Cytiva)
洗浄バッファー:20mM Phosphate buffer, 0.3 M NaCl, 50mM Imidazole, pH7.5
溶出バッファー:20mM Phosphate buffer, 0.3 M NaCl, 500mM Imidazole, pH7.5
WEPRO7240Hは、Hisタグ融合タンパク質推奨用に開発されたコムギ胚芽抽出液です。
コムギ胚芽抽出液WEPRO7240とWEPRO7240G・7240Hを用いて合成した精製度の比較
WEPRO7240Gは、WEPRO7240をベースにコムギ胚芽に含まれるGST様タンパク質の除去性能を向上させたことで、WEPRO7240に比べて精製度の高いGSTタグ融合タンパク質が得られます。
またWEPRO7240Hは、WEPRO7240をベースにコムギ胚芽に含まれるHis様タンパク質の除去性能を向上させたことで、WEPRO7240に比べて精製度の高いHisタグ融合タンパク質が得られます。
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図1 WEPRO7240とWEPRO7240G・7240Hとを用いて合成・アフィニティ精製したタンパク質の精製度比較 1:GSTタグを付加したヒト由来タンパク質、2:Hisタグを付加したヒト由来タンパク質 N:ネガティブコントロール、S:WEPRO7240使用、G:WEPRO7240G使用、H:WEPRO7240H使用 |
レーン1では、コムギ胚芽に含まれるGST様タンパク質(*)がGST融合タンパク質推奨用のWEPRO7240Gを使用することで除去されています。
レーン2では、コムギ胚芽に含まれるHis様タンパク質(*)がHis融合タンパク質推奨用のWEPRO7240Hを使用することで除去されています。
界面活性剤添加によるタンパク質合成への影響
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図1 界面活性剤添加による膜タンパク質発現量への影響
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Digitonin (non-ionic steroid derivative) increased both the yield and the solubility of the 7 solubilized proteins.
Brij-35 and Brij-58 (polyoxyethylene alkyl-ethers) increased the solubility of the 7 solubilized proteins without decreasing their protein yields at tested concentrations.
Tween-20, another polyoxyethylene alkyl-ether, had positive effect on the solubility of 5 proteins.
Triton X-100 and Nonidet P-40 (polyethylene glycol derivatives) showed either positive or negative effects on yield and solubility depending on proteins.
DDM and ß-OG (alkyl glucosides), CHAPS (zwittergenic steroid derivative), and DPC (mono-chain phosphocoline) little improved the solubility of the proteins tested.
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図2 界面活性剤添加による膜タンパク質GRP84の可溶化改善 T: 粗タンパク質画分、S: 可溶性画分、◀: 目的タンパク質 |
WEPRO7240による合成量への合成反応温度の影響
GFP遺伝子をクローニングし構築した鋳型DNAより、通常のプロトコールにしたがって転写反応し得られたmRNAから、温度を4℃、10℃、15℃および25℃として、翻訳反応した。反応終了後GFP蛍光量を測定した。
結果、15℃20hrの反応が最も良い収量を得られている。また、4℃でも合成反応が確認され、反応時間を延ばすことにより、収量も上がることから熱感受性の高いターゲットに対しては、反応温度を下げることにより、合成タンパク質の性状を改善できる可能性があります。
透析法の反応効率について
コムギ無細胞合成タンパク質合成システムを透析法(DL)を用いた場合の合成効率を重層法(BL)の場合と比較しました。
コムギ無細胞合成システムを用いて、可溶率および収量が高いヒト由来のDHFR、GFP、さらに2種類のタンパク質を用いて比較しました。その結果を下記の表にまとめました。それぞれの反応条件は、製品の標準プロトコールに従い、透析法(DL)は3mL、重層法(BL)は6mLの反応スケールでそれぞれ反応し、常法に従ってアフィティ精製後SDS-PAGEに供し、それぞれの収量を定量しました。
その結果、透析法で合成した場合のWEPRO単位当たりの収量は、重層法の場合の約1,6~2倍でした。また、透析法で合成した場合の可溶化率は、重層法で合成した場合より下がる傾向を示しました。